想い、結実。(1)

アイリーグ第4節。
青山学院大学に7-1、戦績を2勝2敗の五分に戻して、
中断期間を迎えることができた。

「偶然ではない。」

福井総監督がそう評してくださったように、
この大勝の陰には、いくつもの伏線があった。

人とボールが動くサッカー。
頂点であるA代表を筆頭に、いま日本のサッカー界では、
オシムが標榜する「考えて走る」、「水を運ぶ」、「ポリバレント」など
とにかく日本サッカーの日本化計画の一端として、
モビリティを極めるサッカーが各世代で追求されている。

U-17代表の東京合宿、U-20のカナダ大会2試合、
A代表の千葉合宿、FC東京練習、そして、反町監督との会食。


「トレーニングメニューというのは、教師がこういうメニューがある、と黒板に書いた時点ですでに過去のものとなっている。練習メニューというのはそれだけ毎日進化し、変化するものだ」(オシム)





,



この2ヶ月、磨かれつづけ、
オレのなかで毎日“上書き保存”されていったサッカー観。
母親が愛おしい乳飲み子に、
みずから噛みくだいた食べ物を口うつしで与えるように、
代表レベルで使われるトレーニングメニューをいかに選手に伝えていくか。

一部でも通用するサッカー。
個人が上達するためのサッカー。
李さんのサッカーにリスペクトを表しつつ、さらにその先の可能性を模索した2ヶ月間。

c0119546_21543785.jpg


公式戦の緊迫感に包まれた初戦の法政戦。
ただただ「魂」がモノをいった。やりたいサッカーは何一つできず。
裕隆、潤、シオの熱い想いが、
押し込まれて先制を許す苦しい試合を後半早々のうちにひっくり返す。

清水、退場。自らの退場によって傾いた試合展開。
傷つけられたプライドは、大輔に“ゼロ”に立ち戻ることを教えた。
そして、過酷なピッチで成長しつづける1年生の波握と金房。最後まで走りつづけた。

逆転に次ぐ逆転、退場に次ぐ退場、気まぐれのように幾度も変わり、傾いた“風向き”と“流れ”、フットボールが抱える多くの要素を内包した熱戦譜は、夕焼けの下、2-3の敗戦という形でピリオドが打たれた。



聖地で壮絶なスコアレスを演じた選手達が応援に駆けつけた第2節、早慶戦。
「なぜか萎えた」、「ショックだった」。トップの選手が感じた違和感。
またもや立ち上がりの失点を取り返して後半同点に追いつくも、頑張ってるはずなのに、観る者の心の琴線に響かない試合風景。

内容も収穫もない試合内容に、追い求めた理想を捨てるか迷いそうになった。
メンバーの11人も、メンバー18人も、メンバー外も合わせた28人も・・・
一丸になれない。何かが足りない。



初勝利をおさめるも、
またもや相手のレベルに合わせて不完全燃焼となった平成国際戦。
ポゼッション率だけが上がり、形が作れない未熟さが課題に。

勝ち方を知ったのだろうか。。。
胸を撫で下ろすような初勝利で、なんとかチームに「、」と、ポジティブな句読点が打たれたのは事実だったのかもしれない。

c0119546_2261965.jpg


内容をともなわず、実力が鏡に映し出されたような2つの敗戦。
そして、なんとかチームで踏ん張りなおした初勝利。


岐路に立たされたチームに何を投げかけるか。


追い求める理想のサッカーと、慶應サッカーの間にある一つの光明。
5日間しかない練習で、大根おろしのように一つのコンセプトをひたすら選手達にすり込んでいくことにした。



「とにかく走れ」
「走らない選手は使わない」



練習中、選手達の間からも、徐々に「運動量!」という声がおのずと出てくるようになる。
2ヶ月間、モールスキンの黒いノートに書き記された過去の自分からのメッセージ。
過去に視察し続けた代表のトレーニングメニュー。
徹底して「考えて走るため」に編み出された究極のメニューの数々。
その幾つかを噛み砕いて浸透させていく。

それまでただ走り続けていた選手が、考えて走りはじめる。
そして、リスクを冒して前に出て行く。ボールを追い越していく。

チームは、少しずつ変わり始めていた。
トップに劣る個の集まりであるA2がトップのサッカーを追い求めた時期、
そして理想のサッカーにトライさせた時期、
やっぱり無理だと放り出して後戻りもした。

でも、すべては無駄ではなかった。
確実にチームには、積もったチリだけで築かれた山がそびえようとしていた。

c0119546_22255070.jpg


つづく。
[PR]
by marc_keio | 2007-07-09 11:29 | football